2019年4月19日夜、経団連会長の中西宏明さん(73歳)が「企業が今後【終身雇用】を続けていくのは難しい」と発言したことが話題になっています。
日本の経済発展を目的に名だたる企業が組織する日本経団連。
まさに日本の未来を背負っている組織のトップ、中西宏明会長が発した言葉なだけに、今後の日本がどうなっていくのかが気になりますよね。
今回は
・終身雇用と年功序列はいつから崩壊するのか
・終身雇用が終わると言われている理由
・今後はどのように変わっていくのか
についてまとめました。
終身雇用制度の特徴
そもそも終身雇用とは、「入社してから定年まで一つの会社で働き続ける」という制度で、従来の日本では当たり前の慣例でした。
高度成長期に数多くの企業が業績アップにともない、人員確保のために年功序列制度と合わせて取り組んだ制度の一つです。
終身雇用は、会社にも社員にもメリットがあるシステムです。最大のメリットは社員の安心感でしょう。日本人はリスクを嫌う傾向が強いので、「クビになるかも知れないが、給料が高い外資系」よりも「給料は高くないが雇用が保証されている日本企業」を選ぶ人が多いのです。
会社としては、社員が一生勤めてくれるとなれば、金をかけて社員教育をすることができます。社員が会社に忠誠心(または愛情でも愛着でも可)を持ってくれるという期待も持てます。
もっとも、終身雇用が機能するのは日本だからだ、という人もいます。外国で終身雇用を採用したら、「サボってもクビにならないからサボる」という社員ばかりになってしまう、というわけです。日本でも、確信犯的に仕事をサボっている人は存在しますが、決して多数派ではないのは、日本人の真面目さのゆえなのかもしれませんね。
引用:LIMO
要するに終身雇用の特徴は
・入社から定年まで一つの会社に雇用される基本的保証がある
・雇用される社員は定年まで失業しない安心感がある
・会社側は社員が基本的には辞めない前提で長期的に社員教育に投資ができる
・サボってもクビにならないのに、頑張る人が多いのは日本人の文化的特徴と言える(欧米では成り立ちにくいシステム)
ということですね。
では、なぜ就寝雇用が終わると言われているのでしょうか?
終身雇用が終わる理由は?
「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです。どうやってそういう社会のシステムを作り変えていくか、そういうことだというふうに(大学側と)違いに理解が進んでいるので」
経団連の中西会長はこのように述べ、「人生100年時代に、一生一つの会社で働き続けるという考え方から企業も学生も変わってきている」との認識を示した。
(引用:日テレNEWS24)
記事によると、「“一生一つの会社で働き続ける”という考え方が変わってきている」ことが理由のようですね。
では、どのように変わっていているのでしょうか?
当然様々な要因がありますが、主に大きく3つ挙げられると思います。
1、時代の変化が激しく、会社自体が4、50年続かない。
2、少子高齢化により、少ない人員で効果(利益)をあげる必要性がある
3、人々が「好きなこと・やりがい」を優先したり、自由度の高い働き方を望む傾向が強くなってきた
1、時代の変化が激しく会社自体が続かない
終身雇用制度が定着したのは1950〜1960年代の高度成長期の初期でした。
その頃は人口が爆発的に増え、労働力が増える一方で経済も右肩上がり、すなわち「業績は上がるもの」という前提がなりたっていました。
儲かっていたからこそ、社員を定年まで雇い続けることに疑問がなかったのですね。
ただ現代の状況は違います。
人口は大きく減り、労働力が失われる一方で、失われた20年・デフレの影響もあり業績を維持することは昔に比べて困難です。
いつ業績不振に陥るかもわからない状況にあるため、定年まで雇い続けることを保証できる企業がなくなってしまったのですね。
2、少子高齢化により、少ない人員で効果(利益)をあげる必要性がある
1とも関連性がありますが、日本は超少子高齢化の国です。
上記のグラフは人口動態グラフ(通称:人口ピラミッド)と呼ばれる年代別・男女別の人口分布図です。
高度成長期に比べて現代は圧倒的に働き盛りの50代以下が少なくなっています。
その超少子高齢化によって昔と比べ労働力が激減した今、少ない人員で効果的に業績をあげる必要があります。
要は、業績を上げない人材を定年まで雇い続ける程の余裕が会社にないということですね。
昔は会社に入ってしまえば定年まで雇用が保証され、業績に関係なく長く勤続していれば給料が上がる「年功序列制」が当たり前で、それをする程の経済力を多くの会社が持っていました。
その部分が時代の変化により変わってしまいました。
3、若者が「好きなこと・やりがい」を優先したり、自由度の高い働き方を望む傾向が強くなってきた
高度成長期時代は、良い企業に入り一生懸命定年まで働き家族を支えることが幸せとする価値観が中心でしたが、現代は「自分の好きなことを仕事にする」という考え方や、「家と会社の往復を一生続けるのは嫌だ」という価値観を持つ若者が増えてきています。
また必ずしも正社員で働くのではなく、非正規の職を掛け持ちしたり、フリーランスとして自由度の高い働き方をする若者も増えてきました。
以上の主な3つの理由により、「一つの会社で定年まで働き続ける」という考え方が変わってきていると言えますね。
終身雇用はいつから崩壊するの?
結論から言うと、終身雇用制度はすでにほぼほぼ終焉しています。
2014年の時点でパナソニックやソニーという大企業が年功序列制度を廃止してから、合わせて終身雇用も衰退していきました。
現在では世界上場をしていて誰もが知るような大企業でさえ、大幅人員削減を図るほどですから、終身雇用を謳う余裕のある企業は少なくとも日本国内にはないと断言しても良いのではないでしょうか。
みずほフィナンシャルグループ(FG)が収益体質の改善に向け構造改革を進める。人員の最適化や店舗の統廃合、コンサルティングなど非金利収支の拡大で稼ぐ力を取り戻そうとしている。2026年度末までに全従業員の2割強に当たる約1万9000人の削減を軸とする抜本的な構造改革を打ち出して1年。坂井辰史社長が「反転攻勢」を強めている。
(引用:ニュースイッチ)
今後は成果主義に変わっていく!?
では、終身雇用が終わる前には何が待っているのでしょうか?
終身雇用・年功序列の対義語のように言われるのが、「成果主義」ですね。
成果主義とは?
「成果主義」とは、昇進や昇給の基準をその人の実力や、仕事の成果、成績によって評価をするシステムです。簡単に言うと昇給や昇格を仕事の成果によって決める人事制度のことを言います。
成果主義による人事制度では、年齢や学歴、勤続年数や経験値などに左右されず、仕事で成果を上げれば給与のアップや昇格につなげることが可能であり、特に若者の仕事へのモチベーションを増進させる働きも持っています。
(引用:Bizhint)
成果主義の特徴をまとめると
・成果のみを評価対象とし、給与・報酬が発生する形態
・学歴、年齢、性別など一切関係がない
・あくまでも結果のみで判断されるため、シビア
・内容によって、かけた労力や時間の割に合わない場合もある
・人件費を効果的に削減できる
・よくも悪くも過去が評価されない
・モチベーションに繋がりやすい
・内容によっては評価基準が難しい
・結果に左右されるため定着率が不安定
ということになります。
終身雇用・年功序列の雇用形態と比べると「安定」はありませんが、自分の実力次第で稼ぐことができるシステムですね!
ネット上の世間の反応
既に終身雇用では無いと思ってた。
— DayDreamFair (@daydreamfair16) April 19, 2019
そんなこたぁ、とうの昔に分かってる話。終身雇用なんかなくてもええから、非正規雇用をなくせってんだ。どうしても残したいっつーんなら国際標準並みに、非正規雇用には正規雇用より割増な報酬を払うようにしろや。https://t.co/EOVoLVC1M2
— みや (@_alphaleonis_) April 19, 2019
いよいよ新卒一括採用と終身雇用が終わるね。「会社から給与をもらう時代」から「会社でお金を稼ぐ時代」に変わるね。 https://t.co/sZS3WGKWnw
— moto (@moto_recruit) April 20, 2019
https://twitter.com/toshinokou/status/1119466311619235840
終身雇用が守られているなんて恐らく既にどの若者も思っていないのでは?平成不況の間に若者の採用を大幅に抑制し、結果的に終身雇用の恩恵を受けられない若者(今や中年)を増やしたのだから、既に守られていないも同じ。今頃この議論はtoo lateでは?https://t.co/vydEytbodC
— 原田曜平 (@YoheiHarada) April 19, 2019
新卒一括採用と終身雇用って、新卒は既卒よりも有利に会社に入れるようにする既得権益を与える代わりに、勤続年数が長い人の方がスキルの高い人よりも高い給料をもらえる既得権益を与える仕組みですよね。つまり優秀な人よりも長く働いた人が得する仕組み。でももうこれじゃ勝てないですよね。 pic.twitter.com/PEWEljPHei
— 米村歩@日本一残業の少ないIT企業社長 (@yonemura2006) April 20, 2019
これ自体は間違ってない。たしかにもう守れないだろう。ただこれだけは言っておきたい。終身雇用が守れないなら今の労働者に「終身雇用と同じレベルの忠誠心や仕事は期待するなよ」と。 https://t.co/nYRC9bIdeh
— もへもへ (@gerogeroR) April 20, 2019
団塊世代の利用が済んだら後の世代は使えなくするもの
・年金制度
・60歳定年
・終身雇用
etc.何なんだろうなこれは。「自分たちのために制度を作れる、いじれる」というのがいかに有利なことなのかがよくわかる。
経団連会長“終身雇用を続けるのは難しい” https://t.co/7BIveIIQGw
— すずもと (@aruto250) April 20, 2019
経団連会長、ついに言うてはならんこと言うたな。リーマンと企業は「終身雇用」「年功序列」という御恩の代わりに奉公する関係で成り立ってたんやったんやぞ。それを放棄したら、より高い評価してくれる企業にコロコロ寝返る戦国時代の到来やぞ。
— 事務課リー (@zimkalee) April 19, 2019
正社員がほとんどいなくなり非正規雇用が当たり前の社会。そういう社会で一体誰が幸せだろう。若者はますます家族をもてなくなり、この国は衰退していくだろう。一人ひとりが未来を考えないといけない。
経団連会長“終身雇用を続けるのは難しい” #日テレNEWS24 #日テレ #ntv https://t.co/yFd6GhaF5b
— 小沢一郎(事務所) (@ozawa_jimusho) April 20, 2019
「終身雇用守れない」と経団連の中西宏明会長。「終身雇用」(無期雇用)は4業種で少数になっているなど全労働者の44%がすでに「有期雇用」です。今も終身雇用守れてないけど、残り56%も含め「必要な時に必要な労働者だけ調達できる雇用のジャストインタイムシステムを100%確立したい宣言」ですね pic.twitter.com/Hrc2WPsjTy
— 井上伸@雑誌KOKKO (@inoueshin0) April 20, 2019
難しいのではなく『続ける気がない』だけ。
その時々の経営状況次第で、従業員を好き勝手に使い捨てて切り抜けるしか、脳がないから。
人材は財産ではなく、単なる経費に過ぎない現在の日本の経営感覚。<経団連会長“終身雇用を続けるのは難しい”(日本テレビ系(NNN)) https://t.co/DUdOOR5E9I >
— ヒトを嗤うゴリラ(時々パリ) (@tokidokiparis) April 19, 2019
経団連会長“終身雇用を続けるのは難しい”(日本テレビ系(NNN)) https://t.co/Bfe4ze5hbK @YahooNewsTopics 自分達は良い思いをしこんな都合の良い話があるか!ロスジェネはこいつらの犠牲になり老後も保障されず自己責任社会に捨てられた。景気景気と喧伝され企業優遇の挙句の果てがこれだ。
— nitonasuk (@nitonasuk) April 19, 2019
正直ハナも、終身雇用や年功序列はとっくにないと思っていました。
今回の発言は、昔の日本の雇用形態に沿ったシステムや名残について、抜本的に改革していくという経団連の意思表明であってほしいですね・・!
まとめ
経団連の中西宏明会長が、企業は「終身雇用を守れない」と公言しました。
現代の雇用システムに疑問を呈し、企業にとっても個人にとってもより良い雇用システムのあり方について、企業と大学側とで協議をすすめているそうです。
これまでの終身雇用・年功序列制度という日本的な雇用形態から、成果主義という欧米主義的な方向に向かっていくのか、まずは2019年4月22日(月)に報告があるとのことですので、要・注目ですね!
最後までお読みいただきありがとうございました。