2019年9月4日付で、香港政府のキャリーラム(林鄭月娥)行政長官が逃亡犯条例の改正案を撤回すると正式に公表しました。
これにより約3ヶ月に渡って続いていた香港の大規模デモがやっと収束の向かうかもしれません。
ですが、大規模デモを主導する抗議団体の一つデモシストの周庭(アグネスチョウ)さんは
「5つの要求が認められるまで抗議活動は続ける」としています。
その5つの要求は↓こちら。
昨日、大雨の中、170万人が集まりました。
香港市民の5つの要求:
1. 改正案の完全撤回
2. 警察と政府の、市民活動を「暴動」とする見解の撤回
3. デモ参加者の逮捕、起訴の中止
4. 警察の暴力的制圧の責任追及と外部調査実施
5. 林鄭月娥の辞任と民主的選挙の実現写真:apple daily, initium media pic.twitter.com/LcgZPP1kQ4
— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) August 19, 2019
今回は、この香港デモ抗議団体の「5つの要求」とはどういうことなのか?目的についてもわかりやすく解説いたします。
香港デモ抗議団体の「5つの要求」とは何?目的をわかりやすく解説!
香港の民主化の女神と呼ばれる周庭(アグネスチョウ)さんは、香港政府の逃亡犯条例改正案の撤回公表を受けても手放しでは喜べないコメントをしています。
条例の撤回は喜べません。遅すぎました。
この3ヶ月間、8人が自殺。
3人が警察の暴力によって失明。
2人がナイフを持つ親北京派に攻撃され、重傷。
1000人以上逮捕。
100人以上起訴。
怪我した人は数えきれないです。私たちは、5つの要求を求めています。これからも戦い続けます。
— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) September 4, 2019
この「5つの要求」が認められるまでデモが続く可能性があるということです。
アグネスチョウさんの言う5つの要求とは
昨日、大雨の中、170万人が集まりました。
香港市民の5つの要求:
1. 改正案の完全撤回
2. 警察と政府の、市民活動を「暴動」とする見解の撤回
3. デモ参加者の逮捕、起訴の中止
4. 警察の暴力的制圧の責任追及と外部調査実施
5. 林鄭月娥の辞任と民主的選挙の実現写真:apple daily, initium media pic.twitter.com/LcgZPP1kQ4
— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) August 19, 2019
としています。
各要求についてさらに、詳しく見ていきたいと思います。
デモ抗議団体の5つの要求①改正案の完全撤回
今回の香港デモの発端となったのは「逃亡犯条例の改正案」です。
香港政府が逃亡犯条例の改正案(犯罪者を中国当局まで引き渡せるようにする)を強行に採決しようとしたことに市民が抗議を始めました。
この改正案の撤回がそもそもの抗議団体の目的でしたよね。
▼香港デモ(2019)が起こった経緯はこちらの記事へどうぞ
この条例改正案撤回の要求は2019年9月4日付に香港政府に正式に認められました。
香港政府のキャリーラム(林鄭月娥)行政長官が改正案の撤回を公共放送で表明。
これにより当初のデモ抗議の目的は果たされましたが、デモが長く続いたせいで多くの死傷者も出てしまいました。
よってデモ抗議団体は改正案の撤回以外にも要求を増やしました。
デモ抗議団体の5つの要求②市民活動を「暴動」とする警察と政府の見解の撤回
2019年6月9日を機に連日起こっている香港大規模デモについて、抗議団体側は
・デモ抗議は「市民の抗議活動」として認められている権利である
・「暴動を起こした」と捉えるのは間違っている
と主張しています。
さらに抗議団体側は「デモ参加者の抗議が暴力化したのではなく、“香港警察側が市民に暴力をふるい暴力の力で市民を糾弾しようとしている”
と考えているんですね。
そのため、権利として認められている「市民活動を暴動とする」ことは間違っているというのが抗議団体の主張です。
デモ抗議団体の5つの要求③デモ参加者の逮捕、起訴の中止
2019年9月4日までの香港大規模デモの活動を通してすでに1000人以上の香港市民が逮捕、100人以上が起訴されています。
抗議団体側は、認められているはずの市民活動中に「不当に逮捕・起訴された」としており、拘留者たちを解放することを要求しています。
デモ抗議団体の5つの要求④警察の暴力的制圧の責任追及と外部調査実施
デモ隊を鎮圧するために出動した香港警察は、一般市民に対して過激な暴力行為で糾弾しようとし、数え切れないほどのけが人が出ています。
さらにデモ活動に参加していない一般市民にまで危害が及んだこともありました。
抗議団体は人の命や健康に関わる危害を加えた
香港警察は一般市民への暴力の責任を取るべきである
と考えています。
さらに、市民のフリをした香港警察が一般人に向かって火炎瓶を投げたという画像も出回っています。
香港警察がデモ参加者を逮捕する&中国当局の介入の口実を自ら作っているということになります。
もしそんなことが本当だとしたら、悪質すぎてとんでもないですよね・・・。
よって、第三者の目でこういった香港警察の不正や濡れ衣について調査するべきだと抗議団体は主張しています。
追記
上記の画像は香港警察ではなくデモ隊の画像であることがわかりました。
銃に見えるものはエアガンとのことです。
31日の衝突直後、勇武派が多数の火炎瓶を投げていたことに非難の声が出た。すると間もなく、それは警察側の工作員の仕業だとする写真付きの検証情報が流されたが、後にこの情報自体がデマ(=「工作員」の装備がただのエアガン)であることが判明した。(文春オンライン)
デモ抗議団体の5つの要求⑤キャリーラム(林鄭月娥)行政長官の辞任と民主的選挙の実現
抗議団体は、今回の発端となった逃亡犯条例改正案を強行に推し進めようとした香港政府は退陣するべきと考えています。
・香港の平和を乱した元凶としてキャリーラム(林鄭月娥)行政長官の辞任
・不平等のない民主的な選挙
を抗議団体は要求しています。
キャリーラム(林鄭月娥)行政長官の辞任については遅かれ早かれ、実現するのではないでしょうか・・?
中国当局としても、今回のデモ抗議を抑えられなかった責任は香港政府とキャリーラム(林鄭月娥)行政長官にあると考えるのが自然な流れと言えそうですよね・・・。
とは言え、民主的な選挙については現段階ではほぼ不可能でしょう。
香港の選挙は日本のように直接候補者に投票するという形式ではありません。
ということは選挙制度そのものを変えなければいけないため「民主的な選挙の実現」については要求がのまれることはしばらくは難しいと考えるのが自然でしょう・・。
まとめ
以上、香港デモの抗議団体側の「5つの要求」や目的についてわかりやすくまとめました。
2019年9月5日の時点では①の改正案の撤回のみが認められ、さらには「完全撤回」とは言い難い状況ではあります・・。
未だ1000人以上の勾留中の香港市民もいるとのことですから、解決したとは全く言えない状況ですよね。
ですが、ここから香港市民の態度がどう変わっていくかは香港政府や抗議団体のリーダーシップにかかっています。
少しでも早く解決に向かうように、祈りましょう。。